音楽活動を始めたばかりの方、自作の楽曲を世の中に届けたいと考えている方にとって、最初の大きな壁が「どうやって配信するか」です。
SpotifyやApple Musicなどの配信ストアはたくさんありますが、個人で直接配信するのは意外とハードルが高いもの。
そんな中、注目を集めているのが音楽配信代行サービス「narasu(ナラス)」です。
月額110円という驚きの価格で、無制限に楽曲を配信できるこのサービスは、初心者から中・上級者まで幅広いアーティストにとって非常に心強い味方となっています。
この記事では、そんなnarasuの魅力とサービス内容を詳しく解説していきます。
最後に、個人的な見解として、「narasuは使うな!」ということについて書いています。
Suno AIなどの、生成AIを利用している人は、最後の「narasuは使うな!生成AIを利用する場合の注意点」だけは読んでみることをおすすめします。
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▶️ narasuの楽曲配信規定を徹底解説 【 生成AI利用利用者必見!】
「narasu」とは?国内初の“サブスク型”音楽配信代行サービス
narasuは、株式会社ローディアムが2020年にスタートさせた、日本国内の音楽配信代行サービスです。
Spotify、Apple Music、Amazon Music、YouTube Music、TikTok、Instagramミュージックスタンプなど、国内外40以上の配信ストアに向けて、アーティストの楽曲を代行配信してくれます。
さらにすごいのは、月額定額制(サブスクリプション型)で“配信し放題” というシステムを日本で初めて採用したことです。
個人でも、楽曲を量産していきたいアーティストにとっては、革命的ともいえる仕組みです。
また、「日本サブスクリプションビジネス大賞2023」では、特別賞も受賞しています。
信頼性・将来性ともに評価されているサービスと言えるでしょう。
月額110円で無制限!「配信し放題プラン」
narasuの最大の特徴は、月額たったの110円(税込)で無制限に楽曲を配信できる「配信し放題プラン」です。
「配信し放題プラン」の基本情報
- 月額料金:110円(税込)※2024年2月の価格改定で660円から大幅値下げ
- 配信可能数:無制限(シングルでもアルバムでもOK)
- 対象ストア:Spotify、Apple Music、Amazon Music、YouTube Music、TikTok ほか計40以上
- 配信エリア:180か国以上
- 収益還元率:90%
つまり、どれだけ曲を配信しても、月々110円の定額料金で済むというコストパフォーマンスの良さが魅力です。
narasuには、SoundONのように、アップロードできる曲数に制限はありませんので、多くの楽曲をリリースしたい方にとっては非常にお得な選択肢です。
必要な分だけ支払う「1回払いきりプラン」
「毎月はリリースしない」、「まずは1曲だけ試してみたい」、そんな方には「1回払いきりプラン」も用意されています。
「1回払いきりプラン」の料金
- シングル(1曲):2,860円(税込)
- アルバム(2曲以上):5,500円(税込)
- 年会費/更新費:一切なし
一度リリースしたら、その後の維持費は不要という点で、コストを最小限に抑えつつも本格的に配信活動をしたい方におすすめです。
音楽活動を後押しするサポート体制も充実
「narasu」は、単なる配信サービスにとどまりません。
アーティストが「聴かれる」「見つけられる」ための支援体制も整っています。
「Artist Spike」:追加料金なしのプロモーション支援
「Artist Spike」は、ZULAチームと連携して提供されるアーティスト向けの無料サポート機能です。
提供内容
- サブミット機能:Spotifyなどのプレイリスト入りを支援
- デジタルプロモーション:SNS施策や広告運用のサポート
- 権利管理:著作権や配信に関する煩雑な作業も支援
- カバー動画の収益化支援:YouTubeなどの二次利用をマネタイズ可能に
初心者のうちは「どうやって広めたらいいのかわからない」という悩みも多いですが、これらの機能を活用することで、その一歩が踏み出しやすくなります。
「YouTubeマネタイズサービス」:動画からの収益化も可能に
YouTubeで自身の楽曲が使用された場合、その使用に応じた収益が得られる「YouTubeマネタイズサービス」も用意されています。
ボカロや音声合成キャラクターを使用した楽曲も59キャラまで対応しており、クリエイティブな表現が可能です。
【要注意】生成AIを利用している楽曲
2025年5月あたりから、生成AIで作曲した楽曲に対する規制が、非常に厳しくなり、配信規定も改定が進んでいます。
その一環として、生成AIを利用している楽曲に関しては、「YouTubeマネタイズサービス」の利用が出来なくなりました。
「YouTubeマネタイズサービス」の利用を目的に、他の無料サービスから、多くの楽曲を移管したことがある私にとっては、騙された感が強いです。
運営会社「株式会社ローディアム」の信頼性
narasuを提供する株式会社ローディアムは、もともと2005年にデザイン会社として創業した企業です。
WEB・グラフィックデザインの分野で培った技術力を活かし、2017年から音楽配信事業に本格参入しています。
- 音楽配信管理システム「C-MAP」「Zu-MAP」の開発・運用実績あり
- 2020年に「narasu」を正式リリース
- 2023年「日本サブスクリプションビジネス大賞」特別賞を受賞
確かな実績とノウハウを持った企業による運営という点でも、安心して利用できるサービスと言えます。
narasu についてのまとめ(2025年5月以前まで)
「narasu(ナラス)」は、音楽活動を始めたばかりの人にとっても、すでに楽曲制作に慣れた本格派アーティストにとっても、非常に魅力的な音楽配信代行サービスです。
月額わずか110円で何曲でも無制限に配信できる「配信し放題プラン」は、国内でも類を見ないコストパフォーマンスを誇ります。
一方で、じっくりと一曲ずつ配信したい方のために「1回払いきりプラン」も用意されており、それぞれのスタイルに合わせた選択が可能です。
さらに、無料で利用できる「Artist Spike」や「YouTubeマネタイズサービス」などの支援機能も非常に充実しており、配信するだけでなく“聴かれる・見つけられる”ためのサポートが用意されているのも大きな強みです。
「自分の音楽をもっと多くの人に届けたい」「費用を抑えて本格的に配信を始めたい」「SNSやYouTubeでも活動を広げたい」、そんな想いを持つアーティストにとって、narasuは非常に心強いパートナーとなってくれるはずです。
音楽配信の第一歩を、安心かつお得に踏み出したい方は、ぜひ一度「narasu」をチェックしてみてはいかがでしょうか。
…
というのは、2025年5月までの話しです。
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▶️ narasuの楽曲配信規定を徹底解説 【 生成AI利用利用者必見!】
生成AIを利用して音楽制作活動をしてる人は、以下の【narasuは使うな!】生成AIを利用する場合の注意点を読んでから、利用するかしないかを判断してください。
narasuは使うな!生成AIを利用する場合の注意点
「narasu(ナラス)」の、月額わずか110円で何曲でも無制限に配信できる「配信し放題プラン」は、確かに魅力的なプランです。
とくに、生成AIを利用して、楽曲を量産してリリースしたい人にとっては、SoundOnのようにアップロード制限がないことは、月額110円支払うとしても、大きなメリットがありました。
しかし、2025年5月くらいから、生成AIの利用に関しては、かなり規制が厳しくなりました。
まず、それまで不要だった、生成AIの有料プランの支払証明等、商用利用が可能なことを証明する書類のアップロードが必要になりました。
さらに、リリース申請時に、「生成AIを利用している」選択すると、著作権登録だけではなく、「YouTubeマネタイズサービス」の利用もできなくなりました。
もっと酷いことに、「生成AIで作られた楽曲」という理由で、リリース自体が却下されることも増えました。
以下は、実際の却下理由になります。
【却下理由】
・権利侵害の疑いがあるコンテンツが含まれている
ご申請いただいた楽曲につきまして、弊社配信規定に基づき審査を行いましたところ、本楽曲に含まれる音源が音源生成AIサービス(例:Suno AI、Udio 等)を利用して生成されたものであり、その音源生成AIサービスの学習データに、権利侵害の疑いがあるコンテンツが含まれている可能性があることが確認されました。
※音源生成AIサービスが商用利用を認めている場合であっても、学習元に関する著作権上の問題が完全に解消されていない限り、当サービスにおいては配信を許可することができません。
却下の理由から規約を調べてみると、2025年5月1日に、以下のように規約が改定されていることが確認できます。
・AIのみで楽曲生成されていないこと
AIによる自動生成ではなく、人間による作曲・編集など創作的な関与があること。
※人間がクエリ入力のみ行った場合も「AIのみの生成」とみなします。
つまり、「Suno AI 等にプロンプトを入力して出来た楽曲はnarasuではリリース出来ない」ということになります。
従来のアーティストにとっては、当然のことかもしれませんが、そもそも、Suno AI 等の生成AIを利用して楽曲制作を本格的にはじめた人にとっては、一気に使えないサービスになってしまいました。
しかも、110円のサブスクの利用をやめた場合、それまでのリリースした楽曲の配信も止まってしまうので、他のサービスに楽曲を移管させる必要があります。(めんどくさい〜)
結論としては、Suno AI 等の生成AIの利用を前提として楽曲制作をしている人にとっては、narasuは利用しない方がよいサービスだと思います。
以下に、2025年5月1日現在の生成AIについての配信規定を引用しておきます。
生成AIについて
当サービスでは、生成AIの利用に関し、アーティストの創作活動を補助する適正な利用は認める一方で、権利を侵害する行為や不正な方法による楽曲申請は禁止いたします。
AIを使用した楽曲の配信は、以下すべての条件を満たす必要があります。・AIのみで楽曲生成されていないこと
AIによる自動生成ではなく、人間による作曲・編集など創作的な関与があること。
※人間がクエリ入力のみ行った場合も「AIのみの生成」とみなします。・必要な許諾をすべて取得していること
AIによって生成されたコンテンツやその配信に関連して、使用された学習データ(楽曲・歌詞・原盤など)が第三者の権利を侵害していないこと。上記の条件をすべて満たしていても、当社の利用規約や配信ストアの規定に基づき、生成AIに関する上記条件に違反していることを疑う合理的な理由がある場合には、当社の判断でリリース審査を却下、または配信停止する場合があります。
また、不適切なツールの使用と判断されないよう、十分にご注意ください。<適正な利用と禁止行為について>
▼適正な利用の例
・アーティスト自身のアイデアや制作を補助する目的で生成AIを活用すること
・生成AIを参考にしながら、独自の創作を加えた楽曲を制作すること▼禁止行為の例
・第三者の著作物を無断で使用・模倣した楽曲を生成し、申請する行為
・ボットなどを用いて、生成AIで大量の楽曲を短時間に作成・申請する行為上記のような行為が確認された場合、利用規約に基づきサービスの利用停止や、損害賠償を請求する可能性があります。また、状況によっては著作権者からの申し立てや賠償請求の対象となる可能性もございますので、十分にご注意ください。
<著作権登録・YouTubeマネタイズサービスの登録について>
現在、narasu著作権管理サービスでは、第三者の権利を侵害する可能性を考慮し、アーティストの創作的寄与の大小を問わず、生成AIソフトを使用して制作された楽曲の著作権登録はお受けしておりません。
また、YouTubeマネタイズサービスのご登録もいただけませんので、ご留意ください。引用元:https://narasu.jp/client/static/rules
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ちなみに、上記の理由で却下された楽曲は、別の音楽配信代行サービスから、無事にリリースすることができました。
このようなことから、せっかくの楽曲を無駄にしないためにも、音楽配信代行サービスのアカウントは複数持っておいたほうがいいと思います。
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▶️ 音楽配信代行サービスの楽曲(リリース)移行方法と注意点【 SoundOn への移行編】
私が作曲した楽曲は、Youtube チャンネルにもアップしていますので、もしよかったら覗いてみてください!