あなたの好きな色は、何色ですか?
また、その理由はなぜですか?
おそらく、
「好きだから」
というのが、多くの人の答えだと思います。
しかし、
それぞれの「色」には特徴があり、私たちの心理や感情、行動に無意識レベルで、多大な影響を与えています。
つまり、
あなたが選ぶ「色」によって、自分自身だけでなく、周囲の人の心理や行動までも、大きく影響を受けているのです。
また、私たちは、しばしば「色」によって、無意識レベルで影響を受けて、購買意欲を掻き立てられたり、行動を誘導されています。
「色」が人の心理や行動に与える影響の研究は、「色彩心理学」と呼ばれています。
色彩心理学とは
「色彩心理学」は、2003年に米国で誕生した、比較的新しい学問です。
しかし、「色彩心理学」には、ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe)、ユング(Carl Gustav Jung)、フロイト(Sigmund Freud)、アドラー(Alfred Adler)、空海(弘法大師)といった偉大な先人たちが追い求めた「色彩論」や「形態学」、「分析心理学」や「仏教」などの知恵が息づいています。
色が与える影響
それぞれの「色」には特徴があり、私たちの身体、心理、感情、行動などに、無意識レベルで、多大な影響を与えています。
生理的な影響
色は、「神経」に影響を与えます。
心理的な影響
色は、「認識力」、「記憶力」、「回想力」などに影響を与えます。
感情的な影響
色は、「感情」に影響を与えます。
代表的な色の分類
「色」は、その特性ごとに、いくつかの分類することができます。
ここでは、代表的な分類方法を紹介します。
温暖色と寒冷色
モノを燃やしたときの温度によって、見える色は変わりますが、色自体に「温度」はありません。
しかし、私たちは、色によって「暖かさ」や「冷たさ」を感じることがあります。
膨張色と収縮色
同じ「大きさ」の物体でも、その色によって、大きく見えたり小さく見えたりします。
具体的には、同じものであっても、「白」は「膨張色」なのでの大きく見え、「黒」は「収縮色」なので、小さく見えます。
進出色と後退色
物体までの「距離」が同じであっても、その色によって遠くに見えたり、近くに見えたりします。
軽量色と重量色
色には「重さ」はありません。
しかし、「白」は軽く、軽快に見え、「黒」は重たく、重厚に見えます。
柔軟色と強硬色
色には「硬さ」はありません。
ここで言う「硬さ」には、実際の「硬度」だけでなく、思考の「柔軟性」も含みます。
興奮色と鎮静色
色には、感情はありませんが、感情を左右する効果があります。
同系色・補色・反対色
同系色
色の相環図で、隣り合う色や近い位置にある色のことを「同系色」といいます。
たいていの同系色は、同じか近い性質を持ちます。
補色
色の相環図で、正反対の位置にある色を「補色」といいます。
たいていの「補色」は、反対の性質を持ちます。
反対色
色の相環図で、正反対の色の隣近辺の色を「反対色」と言います。
たいていの「反対色」は、「補色」と同様に、反対の性質を持ちます。
代表的な色の色彩心理と働き
色に対する色彩心理やイメージは、国や宗教、民族や文化によって異なる場合があります。
ここでは、日本での色彩心理、働き、イメージを紹介します。
白 – White
イメージ
・純粋
・清潔
・神聖
・正義
・空虚
・無
色彩心理
・純潔さや純真さをあらわす
・清潔な印象を与える
・始まりを感じさせる
・過去の清算やリセットをあらわす
・実際より軽く感じさせる
黒 – Black
イメージ
・高級感
・重厚感
・威厳
・恐怖
・絶望
・不吉
・悪
・死
色彩心理
・強さ、圧力、権力など力を感じさせる
・高級感を与える
・相手を威圧する
・暗い気持ちになる
・実際よりも重く感じさせる
赤 – Red
イメージ
・情熱
・活力
・興奮
・高揚
・怒り
・暴力
・警戒
色彩心理
・警戒心、注意力を喚起し、人間の感情的興奮や刺激をもたらす
・交感神経に刺激を与えて、体温・血圧・脈拍をあげる
・注目や関心を集める
・熱や暖かさを感じる
・活力を感じ気持ちを前向きにさせる
・食欲を増進させる
・時間経過を早く感じさせる
青 – Blue
イメージ
・知的
・落ち着き
・信頼感
・誠実
・爽快感
・悲哀
・冷たい
・孤独
色彩心理
・爽快感を与える
・冷静にさせる
・心や身体の疲れを癒やす
・穏やかな気持ちを与える
・鎮静作用、緊張を緩和作用があり、体温の低下、痛みの暖和などに作用する
・疲れた目を休ませる
黄色 – Yellow
イメージ
・愉快
・元気
・軽快
・希望
・無邪気
・注意
・注目
色彩心理
・明るさや希望を与える
・注意をうながす
・脳が活性化し、頭の回転が早くなる
・集中力がアップする
・記憶力を高める
・判断力がUPする
・運動神経を活性化させる
オレンジ色 – Orange
イメージ
・喜び
・活発
・陽気
・明るい
・暖かい
色彩心理
・楽天的な印象をあたえ、陽気にみえる
・消化、新陳代謝をよくする作用がある
・食欲を増進させる働きがある
・血管や自律神経を刺激し、身体を活動的にする働きがある
・エネルギーと開放感を与える
・賑やかさを感じ陽気な気分になる
・緊張を和らげ力を出せる状態にする
・親しみが生まれ仲間意識を高める
・食欲を増進させる
・整理整頓ができる
ピンク色 – Pink
イメージ
・可愛い
・幸福
・愛情
・女性的
色彩心理
・幸せな気持ちになる
・優しい気持ちになる
・心も体も若くなる
・愛らしく見える
・緊張をやわらげる
・安らぎに満ち足りた気分になる
・愛情を求めるようになる
茶色 – Brown
イメージ
・ぬくもり
・落ち着き
・伝統
・ナチュラル
色彩心理
・温もりを感じさせる
・伝統や歴史を感じさせる
・安定している印象を与える
・堅実さや信頼感を与える
・緊張を緩和する
・コツコツと物事を継続させる。
緑色 – Green
*中性色でもあるため、周りの色によってイメージが変化する
イメージ
・安らぎ
・癒し
・調和
・安定
・若々しい
・健康
・やさしい
色彩心理
・情緒を安定させ、安心感を増加させる
・筋肉の緊張をほぐし、リラックスさせてくれる
・穏やかな気持ちを与える
・鎮静作用で緊張を緩和する
・心や身体の疲れを癒やす
・疲れた目を休ませる
紫 – purple
*中性色でもあるため、周りの色によってイメージが変化する
イメージ
・品
・優雅
・妖艶
・神秘
・高貴
・不安
色彩心理
・高貴さや優雅さをあらわす
・集中力がアップする
・鎮静効果がある
・リンパ管や心筋、運動神経の働きを抑制する。
・想像力をかき立て感性を豊かにする
・緊張や不安を癒し、穏やかな気分を与える
・心と身体の回復を促す
・勘を鋭くする
・催眠効果がある
・性的なものを感じさせる
灰色 – Gray
*明るければ「白」、暗ければ「黒」に近づく
イメージ
・落ち着き
・大人
・真面目
・抑うつ
・迷い
・不信
色彩心理
・上品でお洒落な印象を与える
・落ち着いた雰囲気を与える
・穏やかで控えめな印象を与える
・物事を受け入れやすくなる
・忍耐強くなる
まとめ
私たちの身の回りには、多種多様な色が溢れています。
そして、私たちが意識していようといまいと、それらの色から、生理的にも心理的にも、多大な影響を受けています。
そして、大部分の企業や営利団体は、そのことを利用しています。
彼らは、色彩心理学を利用して、企業イメージのアップを図ります。
また、色彩心理学を使って、無防備な消費者に対し、購買意欲を掻き立てるように仕向けます。
色の持つ性質や力、色彩心理を学ぶことで、知らず知らずのうちに、操られてしまっているということに気付けたとしても、それを防げるようになるかというと、なかなか難しいかもしれません。
なぜなら、それは、無意識のレベルで反応してしまうからです。
しかし、色彩心理学を学んで、自分にとって有利になるように利用することなら可能です。
「不安や緊張を和らげる」、「集中力を高める」、「記憶力を高める」、「気持ちを前向きにする」…などに色彩心理学を利用することができます。
また、大事な場面で、何色の衣装を身につけるのか迷ったときにも、色彩心理学は、かなり役に立ちます。
大事な商談やプレゼン、意中の相手とのデートの際に、ぜひ、色彩心理学を取り入れてみて下さい。
そして、色彩心理学を勉強することで、自分がその色が好きな理由や、自分の心が求めているものが分かるかもしれません。
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